律子姉さんに贈る
今を生きる律子姉さん
それは「中の島旅館」から始まった
結婚式は愛し合う二人が幸福を目指していく
新たな出発であろう
ささやかな結婚式であった
高島田の楚々とした振る舞い
ああこの人が兄の嫁さんになる人だ
一年前洋服屋のおじさんから
“この人が兄とつきあっている女性だよ”と
一枚のフォットを見せられた
そこには自立した優しき顔(かんばせ)で
笑う女性が写っていた
人生は決断の連続というが
農家に嫁ぐには強い意志が働いたに違いない
夫を支えながら、子育てに励む
農家の嫁は働かなければ姑がうるさい
世間がうるさい
空をみては涙をながした日があったにちがいない
しかし時はすぎ
兄も逝った
兄が幸せであったのは
武さん、律ちゃんと呼び合う絆が最後まで
切れなかったことである
智慧と包容力が絆を強くしたのだ
「いい人生だった」と兄は逝った
今頃、親戚と酒を酌み交わしながら
座談に花をさかせているだろう
苦楽を共にした人生の絵巻が
頭に浮かんでくる
それは他人同士を何が結びつけたかである
強い母がいれば
聡明な母がいれば未来は明るい
律子姉さんの健康を心から祈り筆をおく